【小説感想】『まったくドルフィンキックしたもの』※サークル名不詳
文学フリマ東京35(2022/11/20)にて入手した本の感想を書きます。
普段あまりこういった感想を書かないためいつまで続くかわかりませんが、どんなに短い感想でもできるだけ書き手に届いた方が良い循環を生むと思うので。
「あいつあの本を買ってたのに感想書いてない」ということも起き得ますが、そこはご容赦ください。
『まったくドルフィンキックしたもの』サークル名不詳
11月20日の文学フリマ東京にて、4人で合同同人誌を販売します。値段やブース番号等はまた改めて告知させていただきます。血を吐きながら執筆しております、何卒!
— 城戸 11/20文フリ東京M-27 (@sh_s_sh_ma) 2022年10月21日
表紙:風見2(@_Kazami__ )
書き手:
JET(@JET__Internet)
sudo(@sudo_sudo_sudo)
virus菌(@viruskinn)
城戸(@sh_s_sh_ma) pic.twitter.com/L1l7Mrh7vV
※文学フリマWebカタログによれば「目元付近」というのがサークル名のようですが、ほかにどこで名乗っているわけでもないので不詳としています
Virus菌「落ちる独身」
無機質で曖昧、意味があるようでなさそうな文章が続いて不安になっているところ、ラストシーンでしっかりピントが合う(が、しかし……)という感覚が良かった。結局全体がいまいち掴めていないけど、たぶんそれでいいんだと思う。最後の「うぬぼれた~」の表現がキマってました。
JET「アルトル・トーカンヤ」
急にジュブナイル小説っぽいのが来た(かぐや姫だ)ので、まず前の作品からの振れ幅という点で良かった。島・閉塞感・転校生の女の子、何も起きないはずがなく……。
小説のお作法的なところが若干気になってしまったけど、話自体は非常にきれいにまとまっていて読後感も良い。月の人たちへの申し立てのシーンがうるさいしうさん臭くて楽しかった。エイリアンは1が好きです。
城戸「愛している、ずっと、心から」
「PENIS/PENIS」て。
しかし文章のリズム感がとても良いので読んでいて気持ちがいいし、オカルト(サスペンス)とおふざけのバランス感も好みです。偏愛の話ですね。偏愛はね、いいですよね……。最後に残された佐川からのメッセージにもグッときました(あの内容なのに?)。
sudo「ひたむきな回帰」
こっちもペニスペニスうるせー!
基本ず~っとふざけたことが書いてあるんだけど、文章力が抜けて高く、教養を感じさせさえするのがニクい。「侍が血判状を一人で勝手に全員分書いているような」といった独特な表現も面白かった。後半のSF展開も、あるあるをペニスでずらしているのがお見事。石瀬さんみたいな女性は、好きですよね……。
その他
風見2さんによる表紙・裏表紙がたいへんかわいく、手に持ってうれしくなるような本。普段おそらくライター?とか小説ではないところをメインとして活動している方たちで(違ったらすみません)、小説の文章作法がどうとかはあるんですが、まあそんなことはどうでもいいっちゃどうでもよくて、どの作品もシンプルに起こっている出来事が面白くてパワーがあるのが見事でした。これSF島で出してもよかったのでは?
次作も楽しみにしています、ありがとうございました。