ローグライクで遊びましょう・2022冬「Peglin」「Backpack Hero」「Alina of the Arena」

本記事は文芸同人・ねじれ双角錐群によるアドベントカレンダー企画に参加しています。

貫です。ゲームの話をします!
いつもより元気な感じで記事を書いていきます!

今回は「ローグライク」(ローグライト)と呼ばれるゲームの魅力をみなさんに伝え、いくつかの作品を紹介できればと思います!

そもそもローグライクって?

……? 風がやみ、瘴気が漂ってきました。いきなり怖い話です。なぜなら、人によって解釈が微妙に異なり、おそらく明確な定義がないからです。
場合によっては分断を生んだり、謎めいたおじさんに火を放たれたりすることもありますから、政治や宗教の話と同様、ある程度センシティブなものとして扱った方がいいですね(ところで近年はハクスラとトレハンを混同してるヤツが多いよなあ!?)。

しかし解釈がいろいろあるとはいえ、そのコアとなる要素は共通しているはず。

  • リプレイ性が高いこと(マップやアイテムのランダム生成)
  • パーマデス(ゲームオーバー時に進行をすべて失う)であり、プレイヤー自身の成長を重視していること

「パーマ(ネント)デス」というワードは使いこなせるとなんだか通な感じがしてカッコいいですから覚えておきたいですね。
さて発祥の話までさかのぼるとまたややこしいので省くとして、大まかには上記の要素を満たすものをローグライク(また、要素の一部を持つものをローグライト)と呼んでかまわないでしょう。

ひと昔前であればこと「風来のシレン」をはじめとする、いわゆる不思議のダンジョンを指す言葉だったようにも思えますが、感覚としてここ5年くらいの間でインディーズから様々なゲームが発売され、その解釈が一気に拡がったように感じます。リプレイ性を高めるルール・システムさえ整っていればそこまでの物量を必要とせず、小規模の開発でも比較的つくりやすいというのも関係するでしょうか。

2017年発売の「Slay the Spire」はデッキ構築型ローグライクのはしりとなって多くのフォロワー作品を生み続けていますし、2020年発売の見下ろし型アクションローグライク「Hades」ではこれまで(ローグライクと相性が悪いから?)あまりされてこなかった重厚なストーリーテリングネビュラ賞を受賞。直近では「アークナイツ」や「ニューラルクラウド」といった人気ソーシャルゲームにおいてもローグライク要素が取り入れられるなど、ジャンルとしての勢いがとどまるところを知らない(——あるいは俺がそう思い込んでいる)状態です。

もはや追いきれないほどに日々新作がリリースされていますが、今回はその中でも特に最近話題に挙がることの多い3作を紹介します!

 

「Peglin」

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今年4月にリリースされた「Peglin」(ペグリン)ローグライク・パチンコゲーム。
……ここはけっこう「はい?」と思ってほしいポイントです。そうです、ローグライク・パチンコゲームです。
ちなみにペグリンというのはプレイヤーキャラクターの名前ですが、おそらくパチンコのペグ(釘)とゴブリンをかけたものでしょう。

スクリーンショットのとおり、プレイヤーはパチンコの玉となる「オーブ」を発射します。オーブごとに攻撃力が定められており、攻撃力×盤面のペグにヒットした回数でダメージが計算されます(ダガーは通常攻撃力は1しかありませんが、クリティカル判定となる!マークに当てたときに攻撃力が跳ね上がる、といった具合)。このオーブの手持ちがいわゆる「デッキ」にあたるものであり、オーブを増やしたり、強化したり、あるいは廃棄したりして理想のデッキをつくっていくわけですね。

オーブの効果はさまざま

俺が使っていて面白かったのはマトリォーブカ(マトリョーシカのオーブ)で、ペグにぶつかることで玉が分裂するというもの。

「落下位置にランダムで倍率が付与されるレリック」と組み合わせることで、まさしくパチンコのようにある種のトランス状態に突入、ただただ気持ちよくなる成功体験を享受しました。

そのほか目を引いたのがマップ。
マップ画面自体は昨今のローグライクでおなじみの選択式のものですが、どちらに進むのかはなんとパチンコで決めることになります。盤面の状態にもよりますが、ペグが多くのこっていると玉が予想外の跳ね方をして、行きたいのとは反対の方向に進んでしまうことも……。

真ん中に落ちるとダメージを受ける

このように「オーブの発射方向を定めてクリックするだけ」で楽しめるPeglinですが、お察しのとおり(お察しですよね?)、良くも悪くも「運ゲー」になりやすいという特徴があります。だって……だって、これはパチンコなのだから……。
「"1"のダメージを求めてあらゆる可能性をシミュレーションしたい」というような戦略家タイプの人にはもしかしたら物足りなさがあるかもしれません。ただ、そういう一手のミスが死に直結するゲームは俺も好きですが、そればっかりだと疲れてしまうんですよね。そんなとき、この「Peglin」があなたの脳にやさしく染みわたるはずです。

 

Backpack Hero」

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次に紹介するのはBackpack Hero」(バックパックヒーロー)バックパックの中のアイテムを管理して進むローグライクです。

やった! キャッチーだ!
このかわいいビジュアルと荷物整理というシステム、今回紹介する3作のなかでは最もつかみが強いのではないでしょうか。つかんでます……かなり強くつかんでいるはずです。
しかし、これがなかなかどうして。実際のところ、他のローグライクゲームで培ったセオリーが通用しづらく、理解にだいぶ時間を要するゲームとなっています(俺もまだよくわかっていない)。

戦闘自体はシンプルです。スクリーンショットの例で言えば、木製の剣をクリックすれば1コスト使用して7ダメージを与えることができます。盾なら防御。ここはわかりやすいですね。で、戦闘に勝利するとアイテムを拾えます。当然、全部はバッグに入りません。レベルアップで大きくなっていくバッグ容量と相談しながら、アイテムを入れたり出したり向きを変えたり、試行錯誤して詰め込んでいくことになるわけです。このアイテム整理がおそらく本作のトロの部分でしょう。

これがまたむずかしい!
たとえば兜は一番上に置かないと効果がなかったり、重いアイテムは最下段にしか置けなかったり。あるいは隣に並べて配置しないと効果を発揮しなかったり、逆に離さないとダメだったり。俺自身のガサツな性格もあり(入ればなんでもいいだろうが!)、戦闘のたびにバッグ内を整理する作業がすこし億劫に感じられることも。
でもさ……いるよな、こういうのが大好きなヤツって。……アンタはどう?

呪文をかけられると、ダメージを受けるか呪文をバッグに納めるか選ぶことに。なぜ?

そのほか、キャラクターによってプレイスタイルがガラっと変わりそうなのは好印象。
魔法を主体として戦うカエルだったり、バッグの中でアイテムを回路図のように組んで戦うロボットもいます。どいつもかわいい。

Backpack Hero」はまだ製品版ではなく、アーリーアクセスの状態。翻訳にやや怪しい箇所がありますが、今後改善されていくでしょう。このゲームならではのセオリーを探りつつ、じっくりと遊ぶのが吉と見ました。

 

「Alina of the Arena」

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最後に紹介するのは、10月にリリースされたばかりで俺のイチオシである「Alina of the Arena」(アリーナオブジアリーナ)で、「Slay the SpireとInto the Breachの要素を組み合わせたローグライクデッキ構築戦術ゲーム」であると公式が謳っています。
なにがなにやらかもしれませんが、つまりはよくあるデッキ構築だけでなく、マス目移動によるシミュレーション要素が取り入れられているということ。そういうとなんだかむずかしそうですが、意外にもすんなり理解してのめり込むことができました。

闘技場が舞台。わかりにくいが、周りの黒い影は観客たち

毎ターンカードが配られ、限られたコストのなかで行動を選択していくのはもはやおなじみ。それに加えて本作ならではのシミュレーション要素が面白さに深みを出しています。

ポイントとなるのはやはり移動(イニシアチブ)カード。これを使って、画面上に見えている敵の攻撃範囲から逃れたり、逆に近づいたりしていくわけですが、移動カードを使えるのは各ターンの一番最初のみ。ジャンプ斬りやタックルのように移動をともなう攻撃カードもありますがなかなか引けないので、逃げるか、攻め込むか……押し引きの判断とポジショニングが超重要になります。

突進してくる敵同士をぶつけたり

装備のシステムにも触れておきます。
赤(左手)、青(右手)がそれぞれカードの色と対応しています。たとえば右手に攻撃力+2の剣を装備しているとき、同じストライクカードでも、青いストライクカードであれば4+2ダメージ、赤いストライクカードだと武器攻撃力が乗らず4ダメージになるわけです。
また、武器によっては強力な戦技が使えることも。左右別々の武器を持ったり、両手持ちの武器を使ったり、堅実にいくなら片方は盾にしたり……組み合わせによってはいろいろ悪さもできるのかも。ここの取捨選択はプレイヤーの性格が出そうですね。

両手武器は……いいぞ

闘技場という設定の活かし方もすごく上手い。
なんといっても観客が見たいのは血しぶきですから、アグレッシブに攻め立てると喜んでくれます。

テンションが上がった観客は武器やお金、回復ポーションを投げ入れてくれることも。
この手のゲームって、慣れてくると守りを固めながらちまちまやりがちなんですが、そこでこの「攻めると有利になる」ゲームデザイン……良すぎる。
ガンガン攻めて闘技場を血の海にしてやりましょう。

キャラクターごとのプレイスタイルに差異がすくない点だけが残念ですが、全体的に完成度は高く、このゲームはこれからもっと人気が出てくるのではと睨んでいます。その際にはでかい顔をする予定です。

 

おわりに

今回紹介した3作はいずれも2,000円以下で買うことができ、値段以上に楽しめること間違いありません。楽しめなかったら……まあそういうこともあるわな、すみません。
現状ではSteam(PC)のみでの販売となりますが、ローグライクと携帯機の相性の良さを考えると、今後Switchなどに移植されることも十分にあり得るでしょう。

気軽に遊べて、何度も楽しめて、気が付けば時間が過ぎ去っている……そんなローグライクの沼にあなたもハマってみてはいかがでしょうか。

<おしまい>

 

 

「Peglin」「Backpack Hero」「Alina of the Arena」のバンドルセット。

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